2007年9月24日月曜日

新しい世代のPCコンポーネント

「フルHD時代に向け原点に立ち戻った」- 東芝、Cellベースの新プロセッサを公開

今後は汎用CPUではなく、いわゆるコプロセッサ的な役割として使われる特定目的プロセッサの存在感がどんどんと増してくるのではないかと思える。その点で、今回の東芝によるSpursEngineのニュースは、その私の思いを裏付ける事になったと思う。

汎用CPU単体の処理能力を上げる為のアプローチは色々と採られてきたが、IntelのNetBurstによる動作クロックの引き上げは3GHz周辺でこれ以上の延びが現実的には難しいという事が判明し、かたやItaniumのVLIWのような1命令当たりの処理数を増やすアプローチも(恐らくは)下位互換性の理由からIntelのローエンド向けプロセッサライン(Celeron/Pentium/Xeon)では採用されず、結果的にマルチコア化してお茶を濁すことになってしまった。

そもそも、汎用CPUを高性能化してありとあらゆるタイプの処理を任せてしまおう、という発想に無理があるのかも知れない。コストを無視すればそれも可能なのかも知れないが、MPEG1/2/4やH.264のように規格化された動画フォーマットに対しては、エンコード及びデコードを支援する専用ハードウェアは非常に安価に利用可能となっているし、この様に規格化された代表的なデータフォーマットに対応する為の専門的な処理は、特定目的プロセッサに任せるという発想がこれからは必要になりそうだ。

東芝のSpursEngineのアプローチは、MPEG2及びH.264専用の特定目的プロセッサコアに対して、グラフィックス演算処理を得意とする単目的プロセッサコアであるSPEを4基配置し、トータルして動画に関連したグラフィックス処理の高速化を(リーズナブルに)実行可能なペリフェラルモジュールを開発した、ということだろう。

CELLの開発に関しては、既にソニーグループは全てのIPを売却する方向で動いている様だが、IBMはCELLの特異性を活かしてHPC (High Performance Computing)分野での実用化に入っているし、東芝も今回の様にCELLのSPEを活かしてSpursEngineを出してきた。こうなると、ソニーは勿体ないことをした感がある。

ソニーはPCにも参入しているが、AV系の機能の充実をうたっている感があり、今回のSpursEngineのような製品はソニーとしても使い出があるモノではないかと思われる。その意味で、ソニーもCELLから手を引かずSpursEngineのような製品を作り出せれば、今後の展開が面白かったのになあと、残念でならない。

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